塩と忠臣蔵のまち 赤穂
「赤穂」と聞いてまず思い浮かぶのは赤穂義士という方も多いかもしれません。
瀬戸内海に面した赤穂市は、江戸時代に入浜式塩田の一大産地として栄え、市内各所にその繁栄を知ることができる歴史文化遺産が残っています。
また、かきの産地としても知られています。それだけではない多くの魅力のあるまち、赤穂を今回ご紹介します。
姫路や神戸などの有名観光地に近く、合わせて訪れるのもお勧めです。
赤穂市立民俗資料館
レトロ好きにはたまらない。建物も展示物もホンモノのレトロ。
資料館は1908年(明治41年)大蔵省塩務局の庁舎として建築された洋館で、日本最古の塩務局庁舎です。
外観は中央部に屋根窓を持つ主屋と、東(写真左側)に切妻造りの屋根と西に宝形造りの塔屋を大胆に組み合わせた変化のある建物の構造です。木造一部2階建てで、屋根は黒色の日本瓦葺き、外壁は水色塗装のドイツ下見杉板張りです。
写真左に写る東側の入口は、壁をアーチ型に開口し、イオニア式柱頭にエンタシスを施した2本の柱になっており、目を引きます。
館内では、毎日の生活用具や農耕具はじめ、大工、桶、鍛治といった職人の道具のほか、教科書や戦時資料、戦後復興の電化製品など約5000点を展示し、当時の生活を紹介しています。
展示物はもちろん、建物自体が文化財であり、きれいに管理されて見応えがあります。
所在地:兵庫県赤穂市加里屋805番2
アクセス:JR播州赤穂駅から徒歩約25分、JR相生駅から車約30分、山陽自動車道赤穂ICから車約5分
休業日:水曜日(ただし祝日と重なった場合はその翌日)、年末年始(12月28日~1月4日)
赤穂大石神社
忠臣蔵の歴史ロマンにひたれる神社。
大石神社は「忠臣蔵」で知られる大石内蔵助ら四十七士(赤穂義士)を祀る神社で、大正元年に創建されました。 討ち入りまで1年10ヶ月を耐え忍んだことから「大願成就」「心願成就」にご利益があるとされています。
境内には国指定の史跡・大石邸長屋門や庭園、義士ゆかりの武具・書画などを展示している義士宝物殿があります。
毎年12月14日には、赤穂義士による討ち入りを再現する「義士祭」が行われ、多くの人で賑わいます。
赤穂市立歴史博物館
赤穂の塩、赤穂の城と城下町、赤穂義士・旧赤穂上水道の4つをテーマに郷土歴史資料を展示しています。
所在地:兵庫県赤穂市上仮屋916-1
アクセス:JR播州赤穂駅から徒歩約20分、JR相生駅から車約25分、山陽自動車道赤穂ICから車約10分
休業日:水曜日(ただし祝日と重なった場合はその翌日)、年末年始(12月28日~1月4日)
赤穂城跡
赤穂城は浅野長直の指示によって慶安元(1648)年から13年の歳月をかけて築かれた海岸平城です。複雑に折れ曲がる堀や石垣、角度をたがえる諸門など、戦を強く意識した構造になっています。
所在地:兵庫県赤穂市上仮屋1424-1
アクセス:JR播州赤穂駅から徒歩20分、JR相生駅から車約25分、山陽自動車道赤穂インターから車約10分
休業日:本丸・二之丸庭園以外は無休、本丸・二之丸庭園は年末年始 12月28日~1月4日
台雲山 花岳寺
花岳寺は、徳川三代将軍家光の頃、浅野長直が常陸笠間から、赤穂へ所替えになったとき、浅野家の菩提寺として建立されました。浅野家断絶後も歴代藩主の菩提寺であり、大石内蔵助の祖先が眠る大石家墓地、義士墓があります。
花岳寺の山門は赤穂城の塩屋総門を明治の初めにここへ移したものです。
赤穂市立海洋科学館・塩の国
お子様連れにはとくにお勧め。体験を通して理解と思い出を深められます。
赤穂海浜公園内にある施設で、「瀬戸内海と塩」をテーマに、瀬戸内海の生い立ちや赤穂の自然、地質、地形、気候、動植物などをさまざまな資料で紹介している科学館。
塩田跡地の塩の国では、揚浜式、入浜式、流下式塩田が復元され、科学館入館者は、かん水(濃い海水)を使った塩づくり体験が無料でできます。
塩づくり体験のほか、塩田作業体験、釜焚き実演見学、塩田案内などのコースが用意されています。
所在地:兵庫県赤穂市御崎1891-4
アクセス:JR播州赤穂駅から神姫バス 赤穂市民病院 経由「御崎」または「亀の井ホテル 赤穂 」行きに乗車(約10分)「赤穂高校」下車、南へ約1kmの「風の門」(西ゲート)より入園(直線で約250m)、山陽自動車道 赤穂ICから車で約15分
休業日:火曜日(ただし祝日と重なった場合はその翌日)、年末年始(12月28日~1月4日)
きらきら坂
広くはないけれど、海の眺めも階段もフォトジェニックなスポット。
縁結びで知られる「伊和都比売神社」から瀬戸内海へつながる坂。隙間から見える海がキラキラしていることから「きらきら坂」と呼ばれるようになりました。
道沿いには、カフェやジェラートショップ、ガラス舎などが集まっています。
きらきら坂にあるカフェ〈AMAMI TERRACE〉ではクラフト・ソルトを実演販売しています。
赤穂雲火焼(あこううんかやき)
ほぼここでしかお目にかかれない、幻のやきもの。
江戸時代後期に始まる赤穂雲火焼は、大嶋黄谷により創出されたもので、その陶法を弟子にも伝えなかったため、黄谷の死後は一旦途絶え、幻のやきものとされていました。
雲火焼は象牙色の陶肌に黒色を加味した赤く燃え上がるような夕焼け雲を連想させる独特の紋様が特徴です。
その後、桃井香子(ももい よしこ)が再現を行い、兵庫県伝統的工芸品に指定されました。
桃井香子による赤穂雲火焼の作品は自身がオーナーを務める「雲火焼展示館 桃井ミュージアム」に多数展示・販売されています。
ミュージアムの庭には、水琴が数点展示されています。
所在地:兵庫県赤穂市御崎634
アクセス:山陽自動車道・赤穂ICより約20分、路線バス・JR播州赤穂駅より約20分「亀の井ホテル 赤穂」行き→「東御崎」停留所下車すぐ
休業日:火曜日(祝・祭日の場合は翌日)
赤穂緞通
日本産の綿製手織りじゅうたん
江戸時代から作られている木綿の手織り絨緞。「児嶋なか」という一人の女性が讃岐の国(香川県)で出会った中国の絨緞に魅せられ、26年もの歳月をかけて技術を研究し、赤穂緞通を完成させました。
海外の絨緞は主にウールで作られますが、赤穂緞通は経糸、緯糸、はせ糸すべてに綿糸を使います。
綿は肌触りが良く一年を通して使え日本の生活習慣と気候風土に適した素材です。また、赤穂市のある播州地方はかつて綿花の一大産地でした。
上の写真は桃井ミュージアムの2階に展示してあったものです。
赤穂緞通の技術は「技術・研修工房つむぐ」で詳しく知ることができます。織る様子の見学、機械体験もできます。(体験は有料、一週間前までに要予約)
赤穂温泉
瀬戸内海を眺めながら入れる温泉が魅力。
播磨灘に面した海岸沿いの高台に赤穂温泉があります。
昭和45年に「赤穂御崎温泉」として出湯し、瀬戸内海を望む景観美とともに多くの観光客に親しまれてきました。しかし、湯量の減少に伴い、新しい天然の源泉を掘削しました。
平成12年12月給湯を開始したのを機に名称を「赤穂温泉」と改められました。泉質も優れ、別名「よみがえりの湯」とも呼ばれています。