新宮茶ピックアップ レポート 郷土料理 

日本茶ブーム

「お~いお茶」の伊藤園が大谷翔平選手と契約した背景

今年4月末、米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手が、緑茶飲料の「お~いお茶」とグローバル契約を結びました。
驚かれた方も多いかと思いますが、近年、緑茶の輸出量は大幅に増加し、輸出先の国や地域も拡大しているのです。それに伴い、緑茶が海外で大ブームとなっています。

緑茶の輸出先は、1位がアメリカ、2位が台湾、3位がEU・イギリスで、最大輸出国のアメリカでは、カフェで緑茶や抹茶を扱う店舗が増加しています。このことから考えても、「お~いお茶」の伊藤園が多額の契約金を払ってもアメリカの市場に活路を求めていることは不思議ではありません。

近年緑茶の輸出額が増えたことには理由があります。
以前は、輸出先ごとに異なる残留農薬基準への対応が課題でしたが、農林水産省の働きかけにより、有機栽培の産地拡大や輸出向け栽培で使える農薬の種類が増えたことで、海外からの需要対応が可能になったからです。

農林水産省は「日本茶輸出促進ポータル / Japanese tea export promotion portal」というWebページを作り、日本茶の輸出拡大のための活動を行っています。そこでは日本茶の新たな需要創出・拡大を目指し、日本茶輸出やインバウンド向けの情報を紹介しています。

期間限定ではありますが、英語ページもありますので、ご覧ください。
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/cha/cha2023.html

日本のお茶の産地

日本のお茶の産地といえば、1位静岡県、2位鹿児島県、3位三重県で、この3県で全国の約70%を占めます。さらにお茶の名産地としては静岡、宇治、狭山が「日本三大茶」と呼ばれ、広く知られています。
緑茶の歴史は古く平安時代までに遡り、遣唐使が唐から持ち帰ったことが由来とされています。

しかし、これらの地域だけでなく東北から沖縄まで、広範囲でお茶が栽培されています。それぞれの気候や土壌を生かし、時期や製法も異なり、それぞれに特徴を持つお茶が生産されています。
旅行先の都府県には、必ずと言っていいほどお茶どころがあるはずですので、日本茶に興味のある方、日本文化に触れてみたい方は、調べて立ち寄るのもいいかもしれません。

農林水産省が作った資料で、荒茶生産量(令和2年)の上位15府県の紹介をしたものがありますので、参考の一つとして見てください。

全国各地のお茶産地の紹介

お茶でインバウンド観光を成功させた町

宇治茶の郷、京都府和束町は、積極的に日本の茶文化を発信しインバウンド需要の拡大に取り組み、通過型観光から滞在型観光にシフトさせることに成功した町です。
たとえば過去には「インバウンド観光推進のためのエージェント養成セミナー」なども実施して、人材育成や情報発信に力を入れました。

近年話題となっているのが、移動茶室の「和束茶おもてなし茶室」で茶畑でお茶を飲むことができ、特別感を味わうことができます。海外で行われている「ワイン畑でワインを飲む」といったことにヒントを得て実現されたようです。

テレビなどのメディアにも積極的に出て、その認知度を上げています。
朝だ!生です旅サラダ

この中で先日ドバイからも観光客が訪れたと話しています。

和束町のお茶に関する情報はこちらからご覧いただけます。
いいとこ和束~茶源郷~

茶摘み体験、お茶作り体験

その年の新茶である一番茶は、4月下旬から5月上旬に収穫が始まります。茶摘みシーンを見たいならこの期間に産地を訪れましょう。

茶摘み体験をさせてくれる茶園もありますので、興味のある方は予約して訪れましょう。

日本全国の茶摘み体験・ツアー(アクティビティジャパン)

小さなお茶の産地・新宮茶

先に述べたように、日本各地には小さなお茶の産地も多数点在しています。
観光にちょっと時間ができたなら、探して立ち寄ってみるのもいいかもしれません。
ただし、一般に開放しているとは限りませんので、ちゃんと調べてから訪れましょう。

今回、訪日外国人に人気の「大歩危・祖谷」に観光で訪れた後、自動車で新宮茶の産地に寄ってみました。
大歩危から自動車で70分程度で到着する場所にあります。
新宮茶は山の傾斜に点在する小さな畑でたくましく育つお茶です。

脇製茶場

新宮茶を栽培、加工、販売している会社です。
工場の前にも茶畑が広がっています。新緑の季節は茶畑もきれいな緑に整って、美しい景観です。

脇製茶場の茶畑

加工場は立ち入り禁止で見学することはできません。

建物の2階に直売所が設けられていて、新茶を含めたお茶やお茶製品が多種販売されています。
もてなしで「希物」と呼ぶ煎茶を淹れてくれました。通販を中心に販売しています。

脇製茶場

霧の森

脇製茶場から歩いて15分程度の所に「霧の森」という道の駅があります。川遊びができる霧の森コテージやイベント広場なども併設されており、多くの人々が訪れています。

ここで新宮茶を使ったスイーツや茶そばなどを販売しています。

茶そばとおぼろ豆富のセット
霧の森レストランの茶そばとおぼろ豆富のセット。全面ガラス張りで新緑や川を眺めながら食事ができます。

霧の森レストラン

霧の森菓子工房では、全国取り寄せスイーツ第一位にもなったことのある「抹茶大福」を販売しています。
この日も一人につき、3箱までの制限がかかっていました。

抹茶大福

新宮茶の淹れ方講座など、お茶の体験が用意されています。
霧の森のお茶体験


この時、ここを訪れていた外国人の姿はほぼ見かけませんでした。まだ知る人ぞ知るお茶の産地ではありますね。

ここだけでなく、春から夏にかけてはお茶まつりが全国各地で開催されていますので、それに合わせてお出かけするのもいいですね。

関連記事