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【茶道を知る1】盆略手前の道具・配置

日本の伝統文化である茶道、茶の湯は、多くの日本の伝統文化の中でも、訪日外国人にも根強い人気があります。
様々な場所で、観光客対象の体験コンテンツが用意され、手軽に行えるものから、本格的に着物を来て和室でお点前をする本格的なものまであります。

しかし、あまりにも多種の道具や所作があるため、一度体験したくらいでは覚えられない、理解しきれない、というのが本当の所でしょう。
茶道教室に通う日本人であっても、その奥深さを理解し、上手にお点前するまでには何年もかかってしまいます。

「茶道に興味はあるけれど、作法が多くて難しそう」とあきらめている方へ、少しずつでも理解を進めて、茶道の魅力を知るお手伝いができればと思います。

第1回目は裏千家で最初に行うお点前「盆略手前(ぼんりゃくてまえ)」の道具とその配置からスタートします。

盆略手前の基本

大きな道具は不要。小さなお盆に載る道具だけで手軽に始められる、盆略手前。

盆略手前とは

正式な点前に対して、いくつかの手順を省くなどして簡略化した作法を略式点前と呼びます。
これには、机と椅子で行う「立礼(りゅうれい)」、屋外で行う「野点(のだて)」、そして誰でも簡単にお茶を楽しむことができるように工夫した「盆略点前」があります。
盆略手前は直径30cmほどの丸盆の上にお点前に必要な道具を配置させてから運び出し、お盆の上だけでお点前を行います。最低限の道具だけを用意して行うので、どこでも手軽にお茶を楽しめます。
盆略手前は裏千家十三代圓能斎が考案した作法で、裏千家で一番最初に習うお点前です。

盆略手前

盆略手前に必要な道具の名前と配置

盆略手前の配置

山道盆・・・普通のお盆よりやや縁が高めで、山道の起伏のように波打っているため、この名が付いています。
鉄瓶・・・・やかんの形をした鉄製の湯沸かし器
瓶掛・・・・鉄瓶を置くための小さな火鉢のようなもの
茶碗・・・・お茶を点て、飲むための器。厚手の物や薄手の物、素朴な物や華やかな物、さまざまあります。
茶筅・・・・茶碗に抹茶とお湯を入れた後に、かき回すための道具
(薄器)・・・抹茶を入れるための入れ物
茶杓・・・・棗から茶碗に抹茶を入れるときに使う匙の役目をするもの
茶巾・・・・茶碗を拭くための布
建水・・・・茶碗を清めたり温めたりする時に使った湯を捨てる器
袱紗・・・・お点前の中で道具を清めたり、釜の蓋を取る時などに使う布
お菓子・・・薄茶では落雁(らくがん)、煎餅、有平糖(あるへいとう)などの乾いたお菓子の干菓子が使われることが一般的です。

これらは、お点前するための基本の道具です。まず名前と役割、その配置を覚えておきましょう。

盆略手前の配置2

干菓子
菓子盆に盛り付けた干菓子(和三盆と煎餅)

この中で、比較的費用がかかるものは、鉄瓶と瓶掛です。これはとりあえずお湯を入れたポットで代用してもいいでしょう。
建水も、とりあえずはご家庭にあるボウルのようなものを使っても構いません。
さらには山道盆も、ご家庭にある普通の丸いお盆でも構いません。
続けられそうに思ったら、好みの道具を取りそろえるので遅くはありません。

お盆に載る部分の道具だけまず揃えてスタートしましょう。

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