はじめての上高地
観光ツアーの案内でよく目にする上高地の美しい山の風景。
一度は訪れてみたいと憧れる人も少なくないのではないでしょうか。
松本市によると、今年1月~10月末までに上高地を訪れた観光客の数は143万9000人にのぼり、16年ぶりに140万人を突破しました。
その要因は、コロナ終息とSNSによる外国人間の情報の共有で、訪日外国人の観光客の増加したことだと分析しています。
上高地はマイカー規制と冬季閉山に注意。
交通機関と訪問時期は最低チェック!
マイカー規制・・・上高地へは年間を通してマイカーでは入れません。バス停近くの駐車場からシャトルバスまたはタクシーで進入します。自然環境の保全と自然公園の快適な利用を促すのが目的です。
冬季閉山・・・11月中旬から翌年の4月中旬までエリア全体が閉山(冬期休業)となります。閉山中は宿泊、食堂など上高地のすべての観光施設が閉鎖されます。
さわんど駐車場とあかんだな駐車場
松本方面から/高山方面から で異なる駐車場
どこから上高地へ向かうかによって、シャトルバスまでのコースが異なります。
東京などの東方面から来る場合は、松本I.C.より自動車で約1時間ほどの「さわんど駐車場」からシャドルバスに乗り換えて上高地に入ります。
さわんど(沢渡)駐車場の料金・・・普通自動車/1日700円
シャトルバスの往復運賃・・・大人/2800円
アルピコ交通
https://www.alpico.co.jp/traffic/local/kamikochi/sawando/
岐阜などの西から来る場合は、高山I.C.より自動車で約45分ほどの「あかんだな駐車場」からシャドルバスに乗り換えて上高地に入ります。平湯バスターミナルの駐車場は使えないので注意しましょう。
あかんだな駐車場の料金・・・普通自動車/1日600円
シャトルバスの往復運賃・・・大人/2800円
濃飛バス
https://www.nouhibus.co.jp/route_bus/kamikochi-line/
連休にマイカーで行く上高地
日本有数の観光地ならではのオーバーツーリズム
行楽シーズンや連休にマイカーで上高地を訪れる場合には、特に注意すべきことがあります。
駐車場が満杯になって駐車できず、上高地に入れないことがあるということです。
私が訪れた10月の3連休はまさにその災難に遭いました。松本で1泊し朝からさわんど(沢渡)駐車場に向かったものの、渋滞で到着したのが10時近くになってしまい、駐車する場所は残っていなかったのです。
急遽、旅行日程を変更し、翌日の3連休の最終日に上高地に入ることになりました。
対策として、駐車できるように早めの時間帯に訪れるか、マイカーをやめて公共交通機関にするかです。
あるいは、ある程度、旅行日程に余裕をもち、状況によって別日に切り替えられるようにするかの方法を検討しておくのもいいでしょう。
山は天気が悪い日も多いので、きれいな景色を何としても見たいという場合も、数日の余裕を持った計画を立てることをお勧めします。
初心者向けのハイキングコース
大正池~上高地バスターミナルの約1時間の散策
霞沢岳や六百山の眺め、湿原の風景、ウェストン碑を見られるルートです。
上高地は、見所を結んで、いくつもの遊歩道が整備されています。
初心者にお勧めする、大正池~上高地バスターミナルのコースは高低差が少なく、
登山ではなくハイキングといったコースなので、脚力にあまり自信がなくても大丈夫です。
心配な場合は、杖を携帯しておくと万全でしょう。
※地図上の①~⑦の場所を1から順に進むコースです。
①大正池~③田代橋 距離:約2.0km 所要時間:約40分
上高地行きのシャトルバスに乗ったら「大正池」のバス停で途中下車します。
終点の「上高地バスターミナル」まで行くと、このコースを往復しなければならなくなるので、あまり歩きたくない人は片道コースになるように、大正池を出発点とします。
帰りのバスは「大正池」のバス停を止まらないことがあり、止まったとしても渋滞時はバスターミナルで満席になる可能性が高く、乗れないことも考えられます。最新情報はバス会社のホームページでお確かめください。
大正池のバス停には大正池ホテルがあり、その裏手に大正池があります。その場所から正面の焼岳や右手の穂高連峰、枯木立の幻想的な風景などを眺めることができます。
大正池は、大正4(1915)年の焼岳の噴火のとき発生した泥流により、梓川がせき止められてできた池。
焼岳は標高2455m。現在も活動を続ける活火山。
田代橋の木道の北東方向は湿原越しの穂高連峰がよく見えます。
④田代橋~⑦河童橋 距離:約1.6km 所要時間:約20分
田代橋のたもとは、東屋、ベンチ、トイレなどが集まっていて、一息つける場所になっています。また田代橋から河童橋の間は特に道が整備されていて、歩きやすいコースです。
田代橋から川の左岸と右岸のコースが分かれます。
道路を渡ってまっすぐ行くと左岸コースで、穂高連峰やカラマツ林が川沿いに眺められます。
橋を渡って右に曲がると右岸コースで、今回はこちらを通って河童橋に向かいました。
川沿いの林を歩くとまもなく上高地温泉ホテルがあります。日帰り入浴ができ、売店・喫茶もあります。
霞沢岳は標高2646m。上高地の南にある山で、上高地温泉ホテルの前からよく見えます。
さらに進むと、岩壁にウェストンのレリーフが埋めこまれた「ウェストン碑」があります。
ウォルター・ウェストン(1861~1940)はイギリス国教会の宣教師。明治21(1888)年に来日し、布教のかたわら槍ヶ岳をはじめ日本の山を歩き、日本に近代登山を興すきっかけをつくりました。また、『日本アルプスの登山と探検』を刊行し、日本の山を初めて世界に紹介しました。
訪れた3週間ほど前に、このあたりでツキノワグマが出たそうです。
遊歩道には数か所にクマベルが設置されていました。今年は特に全国的にクマの目撃情報が多いので、個人的に腰に熊鈴を付け、熊撃退スプレーも用意しました。
上高地を訪れる目的としているほど有名なスポットで、梓川にかかる木のつり橋です。橋の向こうに広がる穂高連峰の景色は上高地を代表する絶景です。
河童橋からの絶景を見るだけでも上高地に行く価値はありますが、道端の花や針葉樹林の風情、小鳥のさえずりなど、散策コースを歩くと、上高地の良さを改めて知ることができます。