太田家住宅で展示のひな人形伝統行事 歴史建造物 

ひな祭りとひな人形

ひな祭りとは言わずと知れた3月3日の「桃の節句」のことで、女の子の健やかな成長を願う行事です。
お内裏様とお雛様が並んだひな人形に、桜や桃の花、雛あられや菱餅などを飾ったり、ちらし寿司やハマグリの料理を楽しむのが、古くからの風習となっています。

ひなまつりのごちそう

しかし現代では、本格的な七段飾りのひな人形を用意する家庭も減ってきて、ケースに入ったコンパクトなセットや、陶器・ガラス・紙などの素材で作られるシンプルなものも好まれるようになりました。
日本の伝統文化のひとつが、人々の暮らしや家族構成、住まいの変化などによって、急速に変化しつつあることを感じます。

ひな人形

昔ながらのひな人形には、人形そのものはもちろんのこと、段飾りに飾る雛道具にも趣向を凝らし、大変値打ちのあるものも多く存在します。また地域によって個性のあるひな人形もあり、それらの伝統も世の変化のままに放置していれば、いつか失われていくのではという危機感さえあります。

手間暇かけて作られた貴重なひな人形の中には、この先同じレベルのひな人形が作られることはあるのだろうかと思うほどで、その価値がわかっている一部の人々によって、なんとか保存され残っています。

近年になって全国各地で、昔のひな人形を集めて展示して、桃の節句の前後に「ひな祭り」のイベントが開催されることが増えました。人々は昔ながらのレトロなひな人形の魅力を感じ惹きつけられています。そしてひな人形が観光地に多くの人を呼び込むための起爆剤となっています。

全国の主なひなまつりイベント

山形県/村山市「段々ロングな雛まつり」
茨城県/大子町「百段階段でひなまつり」
茨城県/結城市「結城のひなまつり」
群馬県/沼田市「老神温泉びっくりひな飾り」
埼玉県/鴻巣市「鴻巣びっくりひな祭り」
千葉県/勝浦市「かつうらビッグひな祭り」
千葉県/千葉県立房総のむら「ビックりひなまつり」
東京都/ホテル雅叙園東京「千年雛めぐり~平安から現代へ受け継ぐ想い~ 百段雛まつり」
神奈川県/座間神社「春よこい ひな祭り」
長野県/須坂市「信州須坂 三十段飾り 千体の雛祭り」
静岡県/伊豆稲取温泉「雛のつるし飾りまつり」
静岡県/可睡斎ひなまつり
愛知県/徳川美術館「尾張徳川家の雛まつり」
兵庫県/南あわじ市「瓦とひなまつり」
徳島県/勝浦町「ビッグひな祭り」
愛媛県/久万高原町「くままち ひなまつり」
福岡県/朝倉市「古都秋月 雛めぐり」
福岡県/築上町「旧藏内邸ひなづくし」

これらは比較的大型のイベントですが、小さなイベントは無数にあります。お近くの市町村でのイベント情報を確認してみましょう。

ひな人形 × 古い町並み

古い町並みとひな人形は相性が良く、その組み合わせのイベントは全国各地で開催されています。
有名な所では、香川県東かがわ市の引田地区の古い町並みで行われるひな祭りです。その地区では女の子のいる家庭は七段飾りのひな人形と大きな市松人形を用意し、展示します。町の子供たちは初節句のご家庭へ訪れてそのひな人形を見せてもらい、お菓子をもらってまわるという風習がありました。
だからこそこの地域ではひな祭りが意味のある行事なのですが、その他全国で開催されているイベントの中には、レトロなひな人形を単に日本の伝統文化を伝えるアイテムとして扱っている場合があります。

市松人形と雛人形

福山市「鞆・町並ひな祭」

鞆の浦は広島県福山市、沼隈半島の先端に位置し、江戸時代に「潮待ちの港」として栄えた町です。「潮待ち」とは船の航行に適した潮を待つことで、船が風と潮の流れを利用していた時代には、瀬戸内海の潮の分かれ目となるこの町に、潮の満ち引きを待つ船が数多く集ったという歴史があります。
今でも当時の繫栄を伝える古い町並みが残されており、観光地となっています。

鞆の浦のひな祭り

その鞆の浦で開催される「鞆・町並ひな祭」は2月下旬から3月下旬のほぼ1か月間開催されているひな祭りです。

「太田家住宅」展示のひな人形

太田家住宅は、江戸時代より鞆の浦で作られている薬用酒の保命酒(ほうめいしゅ)の蔵元だった建物です。瀬戸内海の代表的な商家建築物で、国の重要文化財に指定されています。
ひな祭イベントの開催中、太田家住宅の中は貴重なひな人形が多数展示されていました。

七段飾り

豪華絢爛のひな人形
家紋入りの由緒正しきひな人形。雛段飾りの道具のひとつひとつも漆でできており、細かな細工が見事です。天井の高い部屋でしか飾ることができない一式で、この部屋に飾られています。

百歳雛

百歳雛
白髪の人形で構成されている「百歳雛(ももとせびな)」です。百歳雛はともに白髪となったおめでたい人形で江戸時代から健康と長寿を祝う人形とされてきました。

御殿飾り

大木平蔵 御殿飾り
明治末期に作られた「大木平蔵 御殿飾り」のひな人形です。御殿飾りは、建物の中に内裏雛を置き、そのまわりに、側仕えの官女、庭掃除や煮炊きの役目を果たす仕丁(三人上戸)、警護にあたる随身(左大臣・右大臣)などの人形を飾ります。御殿があることで、それぞれの人形の役割がよくわかります。

裃雛

裃雛
江戸時代末期から明治時代に作られた「裃雛(かみしもびな)」です。埼玉県岩槻周辺から群馬県にかけて流行した人形です。髪はおかっぱで裃を着て両手を前に揃えて正座した姿で、すべて男の子です。手足も簡素に作られていて、内裏雛の5分の1程度の値段で、広く庶民に受け入れられました。

古今雛

古今雛
江戸時代に作られた「古今雛」です。男雛が束帯、女雛が唐衣装の正装で、金や色の糸などを使って刺繍が施された美しい装束となっています。

享保雛

享保雛
日本最大のひな人形と言われる「享保雛」の復元品です。江戸時代の中頃の享保年間に、京都で生まれて各地に広まったお雛様です。

「鞆てらす」展示のひな人形

鞆てらす

「鞆てらす」は鞆の浦の町並み保存や、地元住民と観光客の交流の促進を図り、鞆町の魅力を発信することを目的とした施設です。

鞆てらすのひな人形
鞆てらすのひな人形


雛人形の歴史を学びながら、昔の町並みを歩いていると、ダブルの鑑賞ができて、お得な気分になりますね。

同じように、「端午の節句」あるいは「節分」など、日本の伝統行事に合わせて観光地を訪れると、フォトジェニックな風景にたくさん出合えるかもしれません。

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